033 =====

 ブラウニーやらドーナツやらを作り終えた俺は、子犬のような目で俺を見てくる2人に出来立てのそれをあげて教室へと向かっていた。あんな風に見られたらあげないわけにいかなかった。でも、後悔はしてない。おいしいって言ってくれたからな。


「追加持ってきたよー」


 他のクラスメイトたちと教室に戻ると、そこにはもうなくなる寸前の皿だけが残っていた。
 運ぶのを手伝いにきた新によると、昼時だから軽食がてら寄る人や休憩に訪れる人が多いらしい。つまり今がピークで稼ぎ時なのだ。そんな時にゆっくりしてられない。


「今駿河たちが上で追加用意してる。あとちょっとで来ると思うからなんとか踏ん張れ」
「了解、ここはいいから向こう行ってこい」
「うん、ありがとな。新」


 このあと俺は、鷹人さんと鴇矢くんが迎えにくるまで走り回っていた。
 最初のも入れて合計5回。これは教室と家庭科室との間を往復した回数だ。たった1時間でこれはキツイ。しかもお菓子を持ってる緊張感と早く届けなければという焦りが、さらに疲れを増幅させていた。

 息も絶え絶えに立ち上がった時、教室の入り口には見覚えのある2人がいた。紛れもなく鷹人さんと鴇矢くんだ。


「あ、やっときたー…こっちこっち!」
「遅いよ、まったく」


 双子に案内される2人を見て、なんだか安心した。

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