027 =====
「うまー」
「お祭りってずるいよな、なんでも食べたくなる」
「同感。あ、焼きそばあるって」
祭りを楽しむと言うよりは食べ歩きになってきた頃、俺はある人に呼び止められた。それは俺もよく知る人物で、俺の将来を左右するかもしれない人だった。
「よッ」
「え……は、ハルさん!?」
春原家の別荘で過ごした夏、色々とお世話になったハルさん。実は絳河学園のOBであることを知ったのは記憶に新しい。
しかし、ハルさんはここではないキャンパスにいるハズだ。では、どうしてここに?
「そろそろ学祭の時期だなと思ってさ。大学はまだ夏休みなんだよ」
「そう、なんですか」
「どこかで話せない? そうやって食べ歩いてるってことは、休憩時間なんだろ?」
俺の手はフランクフルトと焼おにぎり、新の手はクレープでふさがっている。さらにこれから焼きそばが追加されるハズだったのだ。これで仕事中だなんて誤魔化しはきかない。
俺たちは新に説明をしながら美術室に向かうことになった。俺も聞きたいことがあったし、ちょうどいい。
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