023 =====
オーダーを受けたブラウニーやスコーン、そして飲み物を持って、俺たちは仕方なく会長と先輩の元に行った。はっきり言って俺は裏方要員なので、新や双子みたいにちゃんとした服装じゃないんだけどな。
「…ん、これうまい」
「本当ですか?」
「りんごの指導で作ったんだろ? 今度自宅の方でも作れ」
「…テストとかない時ならいいですよ」
小声で会話をしながら廊下に目をやる。転入生は来たらすぐに分かる。騒がしくなるからな。
でも、クラス内ではすでにバレバレだ。そりゃあ、こんなに大っぴらに話してればね。
「あ、白りんご。鷹人先輩の予定とか聞いてないか?」
「え? ああ、明日鴇矢くんと来るって…」
「そうか! 楽しみだなぁ」
「まさか、それを聞くために来たんですか!?」
頷く会長に呆れてしまう。本人にメールで聞けばいいじゃないかと抗議したけど、「恥ずかしいだろ」の一言で片付けられてしまった。恥ずかしいってなんだ、恥ずかしいって。恋する乙女なのか、そうなのか。
でも、鷹人さんを楽しみにしている人はたくさんいるんだろうな。先生や後輩はもちろん、卒業してからもファンはたくさんいると聞くし。
自分のことのように思っていると、廊下が騒がしくなった。
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