021 =====
「本当にここなんだろうな、白りんごのクラスって」
「あいつらと同じクラスだからな、さすがに弟のクラスは間違えないし……つかいねーのかよ、接客してるって言ってたのに」
会長のあとに続いて入ってきたのは深鶴先輩だった。おそらく無理矢理道案内でもさせられたのだろう、面倒と顔に書いてある。
それにしても。
俺は横にいる双子をチラと見た。深鶴先輩が言う「あいつら」とは双子のことだろう。初めてお兄さんらしいところを見た気がする。
「ふふッ」
「りんご? 何笑ってんだよ」
「なんでもない」
きっと、本人の前じゃ見せない顔なんだろう。そう思ったら、思わず笑ってしまった。
「なあ、柚流がいないけど」
「え? そういえば……会いに行くって言ってたのに」
「そんなこと、今はどうでもいい。早く出てってもらわないと仕事にならないよ」
今にも舌打ちしそうな顔で鶫が言う。俺は苦笑を浮かべるしかない。
でも彼の言う通りだ。2人は腰を落ち着けてしまい、いくつか注文をした。どうやら帰ってくるのを待つつもりのようだ。これじゃあ動くことが出来ない。
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