019 =====

 やっと転入生が帰っていくと、クラスみんなが息をついたような気がした。ギリギリまで連れていかれそうだった新なんかは、奥に引っ込んで休んでいる。


「転入生、どこ行くって?」
「3年の方。おそらく会長たちのトコだろ」
「会長もお疲れ様だよな…」


 俺は裏方のまとめ役に近いものを担っているから、なかなか抜けられない。明日休みをもらっている分、今日は休みなしで働くことになっている。
 転入生がいなくなったことで再び繁盛し始めた教室内は、また忙しくなった。俺の仕事も増えるだろう。


「新」
「んー?」
「休憩がてら、何か買ってきたら? 色々あるし」


 ぐったりした新に提案をする。パンフレットで確認しただけだけど、そこらの文化祭とは比べものにならない数の種類だった。全て回りたい、本当にそう思ったくらいだ。


「……、回るのは明日でいい」
「え? せっかくの休憩なのに」
「1人で回っても楽しくないだろ。明日ならりんごも休みあるし」
「! …新」
「にやにやすんな、馬鹿」


 叩かれそうになったところを華麗に避けると、俺はそのまま家庭科室に向かった。そろそろストックがなくなる。それを補充しに行かなきゃな。

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テーマ「人外ファンタジー」
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