お年玉 =====
「年明けから呼んで悪かったな」
初詣、と言ったら聞こえはいいかもしれないが。苦笑する榊原先生に首を振る。
今日は先生に呼ばれて登校をした。冬休み中ではあるのだが、どうしてもやらねばならないことがあるからと駆り出されたのだ。まぁ、作品の搬入だったわけだけど。
今はその帰りだ。
「助かった、部員は帰省してるヤツばっかりでな」
「いえ、手が空いててよかったです」
用が済んでから、榊原先生の提案で神社に寄った。混む時間を避けたからか、人はまばらだ。
御参りしておみくじをひいたら、2人して小吉だったことに思わず噴き出した。
「じゃあ、今日はこれで。次会うのは休み明けになりますね」
「そうだな……あ」
「ん?」
「お年玉」
差し出されたのは白いぽち袋。ちゃんとしたものであることから即席じゃないことが分かる。
「いいい、いらないです!」
「なんで」
「だって生徒がお年玉って、まずいんじゃ…!」
「大丈夫、お金じゃないから」
上手く丸め込まれて結局もらってしまったお年玉。先生に車で送ってもらったあとにそっと部屋で開けてみると、そこには手紙が入っていた。
「先生、カッコよすぎだろ…」
何て書いてあったかは、俺だけの秘密だ。
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