013 =====

 1日目は学園内でのみ。だからなのか時間も短い。午前中は準備にあてて、午後からが公開となるのだ。

 つまり、今は準備メインの時間になる。


「全員でメニューの準備して! 接客組は開始1時間前になったら着替えとメイクするからねー」


 委員長の言葉に従いながら、俺たちは準備をする。ホットケーキやドーナツは温かいのを提供するために下準備を、ブラウニーやスコーンはあらかじめ焼いておく。そうやって効率よくサービス出来るように。

 俺は家庭科室で、裏方の中心となって動いていた。試食会をした時あたりから、俺はクラスメイトとも普通に話せるようになっていた。


「ちょっと教室に行ってきまーす」


 そう言って、向こうの様子を見るために家庭科室を出た。教室には駿河がいるハズだから、進み具合を聞くために。
 その時だった。後ろに引っ張られたのは。


「…!? …だ、誰…ッ」
「……静かにしてろ、少し話したいことがあるだけだ」
「! ……し、ののめ?」


 口元を押さえられ、俺はお盆を落とした。耳元で囁かれた、聞き覚えのある低い声。
 それは、東雲のものだった。

≪≪≪戻る≫≫≫

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -