008 =====
渋々ではあるが頷いてくれたクラスメイトに、俺は指示を出し始める。
全て1度にはさすがに無理なので、まずは簡単なブラウニーから。
ブラウニーは生地を混ぜて、それを天板にいれるだけ。材料の量さえ間違えなければ失敗することはまずないだろう。
「卵を2つボールにいれて、そこに牛乳を大さじ2。混ざったらさらに砂糖を……」
先に分量の説明だけする。大さじはこのスプーンで2杯だとか、グラムははかりを使うんだとか。そしてそれを順番に混ぜる。それはレシピに書いてあるから大丈夫なハズ。
単位などに関しては全員にまとめて聞いてもらった。聞いてたかは微妙だけど、分からないのは俺のせいじゃないから。
ちなみに、試食会なので量はいらない。食べる人たちが一口ずつでも食べられればいい。
「他に、このレシピで分からないところはある?」
「……」
「別にないならいいけど、あるなら正直に言って? じゃないと、ここにいるみんなが食べることになるんだから」
みんなの中にはもちろん双子や新も含まれる。美形の類いは全員ホール組だから、その中に憧れの人がいるなら失敗したくないだろう。
そう促すと、1人がおずおずと手を上げた。
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