006 =====

 俺が発言して変な沈黙が出来る。やっぱりでしゃばったかな。

 なんて1人で慌てていると、近くにいた可愛い系のクラスメイトがブレザーをくいと引っ張った。


「…それ、簡単に出来る?」
「え、うん。基本的に混ぜて焼くだけだし」
「僕でも出来る…?」


 不安そうな表情は、まっすぐに俺を見つめてくる。きっと今まで料理なんてしたことないんだろうな。
 でも、それはここにいるほとんどの生徒に言えること。だって、お金持ちばかりが通う学校なんだから。


「多分、大丈夫じゃないかな」
「その根拠は?」
「ないけど……まだ時間あるし、練習すればいいじゃん」


 実際に作ってみれば、メニューとして出せるかどうかも分かるし。
 そう告げると、みんなが頷いた。どうやら意見が通ってしまったようだ。

 一安心していると、手をギュッと握られた。見ると、最初に仕切っていた眼鏡の人。俺が言うのもあれだけど、普通よりの顔だ。


「僕、駿河美艶」
「え、うん」
「木之下って他に何作れる?」
「……え?」
「さっきの感じから、木之下は料理をするヤツだと見た。他のレパートリーを出せ」


 彼の目は、色々な意味で本気だった。その目に圧倒されて、俺はいくつもアイディアを提供することになったのだった。

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テーマ「人外ファンタジー」
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