004 =====
自分に関係ないと思い、席で課題を消化していたところに来たのは青葉だった。幸い、クラスの人たちは転入生に気をとられている。
「えっと、何が?」
「だって喫茶店やるんだろ? だったらりんごは料理作る側かなって」
「…どうせ平凡だからね」
「あ、そーゆう意味じゃないって! 楽しみなだけ」
笑顔で「りんごの料理、食べてみたかったんだ」と呟く青葉。お弁当のおかずは数回とられたことがあるが、ちゃんとしたのを食べさせたことはない。だから、らしい。
大したものじゃないのだけど。
「絶対、食べに来るから」
「あ、うん。ありがと…?」
「だからさ、オレらのところにも来てよ。サービスするからさ」
「いやいやいや、執事とかメイドとか恥ずかしすぎ」
でも、少しくらいは行ってやってもいいかと思ったのは内緒だ。
「あ、陽! いつの間にりんごと仲良くなったんだよ! 俺も話したいッ」
「ほら、そろそろ鐘なるから戻らないと」
「えーッ」
青葉や東雲と打ち解けてきたからと言って、ちょっと気を抜きすぎだろうか。でも、これはこれで悪くないと思うんだ。普通の高校のノリってこんな感じなんじゃないかな。
俺は新と話しながらそんなことを思った。
だから気がつかなかった。転入生がこちらを見ていたことに。
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