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長かった夏休みが終わって、俺も春原家に帰ってきた。
別荘で前半を過ごした俺は、後半に休みをもらって父さんのところに行っていた。久しぶりに会った父さんは、疲れていたようだったけど楽しそうで安心した。きっと忙しい中にもやりがいがあるんだろう。
「りんご、明日からまた弁当な」
始業式のみの今日は午前中で帰宅となる。
そんな中この一言を言ったのはもちろん深鶴先輩だ。
俺がいなかった2週間弱の間、春原さんたちは春原さんたちで忙しかったらしい。パーティーとか、そーゆう類いで。だから食には困らなかったみたいだけど、精神的に疲労してるのが分かった。だって鶲に「りんごの飯が食いたいー!」って抱きつかれたからね。
「あ、でもこれからしばらく夕飯作るの遅れるかもしれません」
「あ? なんでだよ」
「なんでって、もうすぐ文化祭じゃないですか」
夏休みが明ければもう文化祭はすぐそこ。
絳河学園は自主性を育てるために、出来るだけ自分たちで企画から運営までをこなす。そのため、夏休み明けから当日までの1ヶ月間は怒濤の毎日になるらしい。
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