027 =====
言ってから急に恥ずかしくなった。ハッとなって口を押さえた時にはもう遅くて、ハルさんたちはもちろん春原さんたちまで目を丸くしていた。
そりゃそうだよね。今まで敵だったハルさんたちを誘うなんて。しかも、夕飯を食べるところは春原さんたちの別荘以外にないのだから。
俺が誘うのはお門違いな気がした。
「りんご、お前なあ…」
「せっかくだけど、お断りさせてもらうよ」
呆れる鶲を遮ったのは、ハルさんの声だった。それも、断りの一言。
「ちょ、なんでだよハル! りんごのお好み焼きうまかったじゃん!」
「黙れ秋良、これ以上お邪魔するわけにはいかねぇだろ」
「でも…!」
4人で言い合う内容はあまり聞こえなかった。でも、秋良さんのことを他3人で止めようとしていることだけは分かった。
落ち込んでいると、ハルさんがこちらへ走ってきた。
「これ」
「?」
「今度あるんだよ、大学祭。それのポストカード」
「え、あの…」
「来いとは言わないけどさ、絵に興味があるなら来れば?」
ハルさんは言うだけ言うと、秋良さんを引っ張って行ってしまった。その後ろを星夏さんがついていき、冬雪さんもお辞儀をすると去っていった。
そこに残ったのは、俺と春原さんたち。そして1枚のポストカードだけだった。
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