005 =====
お昼前の砂浜は、人混みで溢れていた。
いつもベランダから見ている砂浜は私有地らしいのだが、今回来たのは解放されている砂浜。せっかくだから楽しもうと、鷹人さんがこちらを選んだのだ。確かにプライベートビーチは贅沢だけど、やっぱり海はこうでなくちゃ。
「…あれ、りんごは泳がないのか?」
「もうすぐお昼ですし、バーベキューの準備でもしてます。鶲たちは遠慮なく遊んでて下さい」
「じゃあ、昼食べたら一緒に遊ぼうな!」
鶲たちが海に向かっていくのを見送り、俺はバーベキューの準備に取りかかる。
「りんご、何からやる?」
「んー、少しゆっくりしてからにしようよ」
実は鴇矢くんは一緒にお留守番だったりする。鴇矢くんは日焼けすると赤くなるタイプらしく、泳ぐのもあまり得意ではないらしい。だから自分から手伝うと立候補してくれたのだ。
意外だったのは鷹人さんだ。鷹人さんは海を楽しみにしていた1人だったらしく、準備を任せると鶲と共に海に向かって行ったのだから。言わずもがな深鶴先輩はナンパしに行った。
しばらくは遊んでるだろうから少しゆっくりしよう。
俺は鷹人さんが立てていってくれたパラソルの下で、鴇矢くんとゆっくりすることにした。
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