004 =====
意外にも別荘での生活は穏やかに過ぎていった。俺は家事以外特に他にすることもないので、勉強したり読書したり。こんなことなら画材借りてくればよかったなんてすら思う。
逆に春原さんたちは休みを持て余しているように見える。
双子はこの機会にと2000ピースのジグソーパズルを持ち出したのだが、3日で飽きてリビングに放置。今ではもっぱら鴇矢くんの暇潰しになっている。先輩は相変わらず寝てばっかり。しかも近くのホテルにも行っているみたいだ。不潔。鷹人さんはたまに大学に戻ることもあるし、比較的まともに過ごしてるようだけど。
まぁ、突然何か変わるわけもないか。だって変わったのは環境だけ、あとは同じなのだから。
そんな、ある快晴の暑い日のこと。
「うわ、勉強してるし」
「ん? …鶲?」
「ちょっと遊びに行かない? せっかく海に来たのに海水浴してないって鷹人兄が言うからさ」
部屋に来たのは鶲だった。しかも水着姿。「鷹人兄が」って言う割りに、彼自身も楽しそうだ。
「海水浴?」
「そ。まぁ、無理に泳がなくてもいいから。とりあえずみんなで砂浜行って、夜はバーベキューしようってさ!」
「! …分かった、すぐ準備する!」
行くと決まったら準備しなくては。俺はノートを閉じて立ち上がった。
…水着あったかな。
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