029 =====
俺は球技大会の時も似たようなことを言われたのを思い出した。確か「べ、別にお前の作ったものがおいしかったなんて思ってないからな!」とかなんとか。
あの時の俺は忘れたことにして流したのだが、この違和感を払拭するためには必要なセリフだ。
「あの、会長」
「なんだ?」
「つかぬことをお聞きしますが、副会長って……ツンデレってヤツですか?」
「そうだ。しかもかなり典型的な、な」
こそこそと話す俺たちを見て、副会長は表情を曇らせた。自分について、しかもあまりいいことではないだろう話をしているのに気づいたのだろう。
ツンデレとは、俗に言うオタク用語というヤツだ。最近はテレビなどでもよく見かけるようになった単語のため、俺でも意味を知っている。確か、普段はツンツンしてるが親しい間柄の人に対してはデレッとするんだよな。そこに萌えとかを見出だせるかはまた別の話だが。
そんな乏しい俺の知識のみでも副会長=ツンデレの式を作ることが出来たということは、会長の言う通りなのだろう。
つまり球技大会のも親衛隊に答えたのも、ただの照れ隠しだったということになる。と、言うことは……
「親衛隊の勘違いじゃないか」
結論も、もちろんそうなる。
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