021 =====

 次に目を開けた時、俺は冷たい床の上にいた。
 埃っぽいその部屋は、薄暗くとても静かだった。夏休み最終日とはいえ部活もあるハズなのに、そういった類いの声は聞こえない。ここは一体どこなのだろうか。


「目、覚めた?」
「あ…」


 縄で縛られ身動きのとれない俺は、なんとか顔をあげて声の主を見た。それは少し前に俺を呼び出した先輩で、意識を失う前に見たその人であった。


「やっぱり僕たちが我慢するなんておかしい。杏のことだって、よく考えたら従う必要ないし……だから、君に制裁を与えることにした」
「え、あの…ッ」
「杏も、もう起きてるんでしょ?」


 先輩が俺の横に視線を向ける。
 そこには、同じように縄で縛られた杏先輩が転がせられていた。向こうを向いているので顔は見えないが、ピリピリとした空気が伝わってくる。


「……どーゆうつもり?」
「話した通りだよ、杏。僕たちはもう、君に遠慮しない」


 よく見ると、ドアだと思われる方にも2人いる。この前呼び出してきた残りの2人だろう。

 これからこの先輩は別の人を呼び、その人を通して俺や杏先輩に危害を加えるだろう。それだけはどうしても避けたい。人通りのなさそうなこの場所では、自分で逃げるしかないのだから。

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