020 =====

「後ろから集めろー」


 あっという間にテストが終わった。
 範囲があまりなかったおかげか、前回で要領を掴んだからか。俺は前ほど焦ることなく自分のペースでテスト勉強をすることが出来た。結果もついてくればいいんだけど。

 テストが終わっても周りは相変わらずだ。春原さんたちはそれぞれマイペースだし、新は少し過保護になった気がする。転入生率いるあの集団も、何一つ変わることなく反感を買ったり親衛隊を煽ったりしている。

 そんな夏休み前最終日。


「じゃあ、りんごもしばらくこっちにいるんだ?」
「まぁな。でも少し早めに行くつもり、混むだろうし」


 行き先はもちろん父さんのところだ。夏休みを利用して会いに行きたいじゃないか。
 後々鷹人さんにでも相談しなきゃな。


「じゃあ、またメールするから」
「ん、またな」


 新たち寮生もお盆には寮から出なくてはならない。でも、それまでは結構遊べるということだ。今年は環境も変わって遊ぶことも減ったから、約束が出来ただけですごく嬉しい。

 なんて、浮かれてたからいけなかったんだ。


「見つけた」
「え?」
「木之下、りんご」


 人気のなくなった学園で、俺は意識を失った。見覚えのある顔に声をあげる間もなく。

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