019 =====
職員室にて。6時間目をサボったことを観月先生に話したら、すごく怒られた。いや、怒っていた。
最初はサボったことを咎めていたんだけど、話を聞くうちに葵先生への怒りが収まらなくなったらしい。握りしめた拳が怒りで震えていた。
「この借りはあとできっちり返す、転入生でもパシればあいつもおとなしくなるだろ」
今はこんなだけど、普段の観月先生は美人さんだ。優しいし授業も分かりやすい。怒るとちょっと口悪くなるけど、観月先生が担任でよかったと思う。
「ま、もうすぐ夏休みですから。もう少しの辛抱ですよ」
「はーい」
テストがまた近づいてくる。この間やったばかりのハズなのに、時が進むのは早い。
でもそれさえ乗り越えれば長い休みの始まりだ。部活はないし、夏休みの課題さえ終えればあとは自由。
父さんに、会いに行ける。
「りんご、クラスのヤツにノート借りたから写していけよ。飲み物くらいは出すからさ」
「うーん。そうしたいのは山々なんだけど、だいぶ時間くっちゃったし……コピーだけさせてもらえる?」
「そっか、了解」
確実に夏休みはすぐそこまで来ていた。
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