018 =====
葵先生の我が儘で、俺と新は数学準備室へとやってきた。もちろん手には課題を山盛り持って。
この学園、先生1人1人に個別の部屋を与えていたりする。それぞれの担当教科の準備室は合同で使っているのだが、そこから個室に行くドアがいくつも並んでいるのだ。これで職員室もあるのだからお金持ちの考えることは分からない。
「その辺に置いとけ。でもってそこのでコーヒーいれろ」
どうやら葵先生は俺たちをこき使うことに決めたらしい。
俺は指示通りコーヒーメーカーでコーヒーをいれ、新はここぞとばかりに部屋の掃除をさせられていた。
「どうぞ」
「ん、じゃあお前も片付けしてろ」
「次の時間あるんですけど?」
「知るか」
これは、逆らわない方がよさそうだ。
次の時間は我らが担任、観月先生だったハズ。観月先生と葵先生って仲悪いって有名だし、きっとなんとかしてくれるだろう。
「…うまい」
「え?」
「いや、なんでもない。つかそんなハズない。気のせいだ」
「…はぁ」
コーヒーを一口飲んでから、葵先生はやけに不機嫌そうだ。
「俺何かしたかな?」
「気に入らなかったんだろ」
「何が?」
「りんごのコーヒーがおいし…」
「喋ってないで片付けやれ!」
結局、片付けは6時間目の終わりまで及んだ。
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