017 =====

「眠い……」


 翌日。寝坊こそしなかったものの、俺は眠気に襲われていた。
 お昼を終えたあとの5時間目は、何より眠い。午前中はなんとか寝ずに済んだが、そろそろ限界らしい。

 欠伸をこぼし、ついに睡魔に負けそうになった時のことだった。


「りんご」
「う? ……新、何?」
「葵がこっち見てた。お前も俺も柚流と仲良いし、あいつ目の敵にしてるから」
「ありがと、また寝そうになったら起こして」


 葵とは隣のクラス、つまり柚流のクラスの担任である。葵波月というずいぶん響きの綺麗な名前の持ち主で見た目もいいが、残念なことに中身はエロスの塊だ。
 ちなみに転入生は、葵先生に対して「ホストがいる!」と言って気に入られたらしい。葵先生も物好きだよな。


「そこ、うるさいぞ」
「はーい、すみませーん」
「ちょうどいいから授業後、運ぶの手伝え」
「げ」


 葵先生は俺たちが転入生と仲がいいのを根に持ってる。それは新にも言われて注意してたんだけど、どうやらついに捕まってしまったようだ。新がもらした声も勘に触ったらしく、嫌な笑みとともにそれは決断された。


「よし、今日はここまで。後ろから課題集めろ」


 クラス分の課題のワークにげっそりした俺と新だった。

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