016 =====
俺の様子がおかしいことは、春原の5人には筒抜けだったようだ。いつもなら夕飯が終わったあとみんな部屋に戻るのに、この日は違った。5人とも何かしら理由を見つけてはリビングにとどまったのだ。
皿を洗い終わった俺に話しかけてきたのは、やはり鷹人さんだった。
「その様子だと、隼臣に会ったみたいだね」
「嘘、やっぱり!?」
「そんな気は薄々してたけどねー」
俺よりも先に双子が反応する。
そんなに分かりやすいだろうか。
悶々と考える俺の横にはいつの間にか鴇矢くんがいて、肩にコツンと寄りかかってくる。何も言わないが心配をかけてしまったようだ。もちろん、鴇矢くん以外にも。
「会いましたけど、大丈夫でした」
「……そっか。よかった」
鷹人さんの微笑みに、力が抜けた。まだ気を張っていたのかもしれない。
でも、また会長とは話してみたいと思う。自分の知らない会長や鷹人さんの話は、すごく面白かったのだ。春原さんたちには絶対言えないけれど。だってまた怒られてしまうから。
「じゃあ、問題もなくなったことだし! 6人で何かしようぜ!」
「何かって何だよ」
「んー…人生ゲームとか?」
「じゃあ5人でやったら? 僕は銀行してあげるから」
「おれ、明日早い……」
「固いこと言うなよ!」
次の日、数名が遅刻したのは言うまでもない。
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