012 =====
「多分、もう問題ないと思う」
親衛隊との問題が片付いてだいぶたったある日。俺は杏先輩から報告を受けていた。実はこれより前にも1度、新を通じて報告をもらっているのだが、今回はもう完全に心配がないということも含めての報告らしい。
といっても、言うことはこれだけのようだ。以前のように人目を忍んだり場所を選んだりしていないところから、それはすぐに分かった。
今が放課後であることも理由の1つかもしれない。でも、杏先輩が親衛隊をしっかり管理していることや、その親衛隊が穏健派であることが大きいだろう。
「そうですか、ありがとうございました」
「何事もなくて幸いだったね。木崎様も笑って下さったし、よかった」
はにかむ先輩は本当に可愛い。親衛隊がいるのも頷ける。
「じゃあ、用はこれだけだから」
短い報告を受け、先輩と別れようとしている時だった。
背後に誰かいる。そう思った時にはもう遅くて、気づけば抱きすくめられ身動きがとれなくなっていた。
「りんご? …ッ、天王寺様?」
俺からはその人物が誰かは見えなかった。でも、心当たりはあった。
そしてその心当たりは、杏先輩の呟きによって確信へと変わったのだ。
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