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 しかし、双子の反応は俺が考えていたものとは違うものだった。


「会長にバレたことは置いといて。りんご、危ないかもしれない」
「え?」
「一昨日くらいだったかな、会長が『会長…』って物憂げに呟いてるのを聞いたんだよ」


 なんだかややこしいが、そんなことを言ってられる状況じゃなかった。

 会長が言う「会長」とは、天王寺先輩にとっての会長。つまりは鷹人さんのことだ。会長は鷹人さんに強い思いを抱いているように俺には見えた。
 俺には保健室での一件での情報しかないから、推測のしようもないのだけど。

 そういえば、あれ以来会長に会っていない。


「りんご、もし会長と遭遇しそうになったら全力で逃げろよ」
「今の会長はなんていうか……不安定なんだ。だから、何をしでかすかも予想がつかない」
「親衛隊はうまく処理したみたいだけど、会長と関わったらもう取り返しがつかないよ?」


 ひどく曖昧な双子の言葉は、俺の心にずっしりとのしかかってきた。

 そんなこと分かってる。前々から逃げたい気持ちもあったさ。だけど会長からは逃れられない、そんな気がするのだ。だって彼はいつの間にかやってきて、自分の好きなようにして去っていく。まるで台風だ、捕まったら逃げられない。
 だから、これほど言われたところで逃げることは出来ないだろう。

 俺は不安になる気持ちを隠しながら、双子の言葉に頷いた。

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