009 =====
それは、鶲の一言から始まった。
「そういやさ、りんごって会長と知り合いだったりする?」
「え…ッ」
夕飯の席で突如された質問に、俺は過敏に反応してしまった。それはつまり、肯定しているようなもので。鶲が驚く声と重なって、他3人の声が聞こえた。
「一体どうやって知り合ったんだよ、接点ないだろ」
「りんご、気抜きすぎじゃないの? 会長なんかと関わるなんて」
「…あの人、駄目」
中等部の鴇矢くんまで言うのだ。よほど知れ渡っているらしい、悪名が。
俺はどうすることも出来ずに鷹人さんを見た。鷹人さんだけは俺と会長が知り合いであることを知っている。経緯は知らなくても、何かしらの言葉を放ってくれると思ったんだ。
「りんごくんだって好きで隼臣と関わってるわけじゃないよ、ね?」
「でも!」
「それに、僕も見られちゃったんだよね」
「何を、だよ」
「僕とりんごくんが知り合いだってことを、隼臣ともう1人に」
それはあの保健室での出来事を指しているのだと、すぐに分かった。鷹人さんの言う「もう1人」とは東雲のことだろう。
でも鷹人さん、それを今言うことはなかったんじゃないかな。
鷹人さんの言葉に、双子が声をあげたのは言うまでもない。
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