008 =====
「まぁ、転入生に手を焼いてるのはこっちも同じだもんね」
「杏公認の木崎様の親友となると厄介だし…」
「今日はもともと忠告しに来ただけだから」
先輩たちは意外にあっさり解放してくれるようだ。やっぱり新と杏先輩の名前は大きかった。感謝しなくては。
俺はこれからのことも考えて、最後に先輩たちの所属を聞かせてもらった。
「僕らは副会長、瀬野様の親衛隊だよ。そんなことも分からずにいたの?」
親衛隊の方々って、どうして高飛車な人ばかりなんだろう。解放され、そのまま美術室に向かいながら俺はため息をついた。
教室に戻ってからは新に昼休みのことを簡単に話した。新は一瞬立ち上がり怒る素振りを見せたが、最後まで話を聞いてくれた。この件では心配をかけてばかりだ。申し訳なさすぎる。
「で、これを杏先輩に伝えてほしいんだ」
「いいけど、お前は本当に何もなかったんだな?」
「うん、何も」
「ならいい」
やっと疑いが晴れたらしい。
にしても、あとは杏先輩に任せて出方を待つのみ。杏先輩は賢いから、これで親衛隊問題は解決したも同然だ。
この時の俺はそう思っていた。いや、確かにこの問題は解決したのだが。まさか、ここから別の問題が発生するとは思ってなかったのだ。
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