002 =====
「で、ここに来たのか?」
「はい」
「別にいいけどさ、相談室じゃねーかんなここ」
青葉とのこともあったからか、昼休みに新と美術室に訪れた時の榊原先生の反応は何とも言えなかった。
確かに、最近は先生の力を借りっぱなしだった気もする。というより、巻き込んだの方が正しいだろうか。この間お礼はしたけれど、また迷惑をかけないように気を付けなければいけないな。
「で、相談って?」
「実は、非常に言いにくいんだけどさ」
「うん?」
「親衛隊に目つけられた、かも」
新の表情を伺いながらゆっくり告げる。
原因の1つである青葉とのことは新に何の相談もなしに進めてしまったので、怒られるに決まっている。そう思って目をキュッと瞑った。
しかし、一向に怒られる気配はない。おずおずと目を開け新の顔を盗み見ると、大きなため息を吐く新がいた。
「まぁ、そのことだとは思ってたけど」
「……あれ、驚かないの? 怒りもしないし」
「…怒るのはあとな。驚かないのはあれだ、あらかじめ知らされていたのが大きい」
やっぱり怒られるのか。
じゃなくて。「あらかじめ知らされていた」と新は言った。じゃあ、彼はもう動き出しているんだ。
俺は少し安心して、肩の力を抜いた。
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