029 =====
俺としては、それは避けたかった。
平凡な毎日を過ごしたいのに、その行為はまさに逆をたどることになる。注目を浴びるのは嫌だった。
「……遠慮します」
春原さんたちが驚いたのが分かった。断らないと思っていたのだろうか。
「青葉との問題は解決しましたし、東雲や生徒会に関わったのはあれ1度きり。それだけのためにこの秘密を明かすのは、違うと思います」
はっきりと言った。
先輩は「守ってやる」と言ったけど、それでは駄目なのだ。余計に事態を悪化させるだけ。
だったら、自分で解決するしかないじゃないか。
幸いなことに、今回のことはまだ大きくはなっていないハズ。というか、あんなに青葉と話していたのに親衛隊の動きは意外に遅かったことに驚いている。これは、ひょっとしたらひょっとするかもしれない。
「じゃあ、お前はどうするんだ?」
「自分の身くらい自分で守れないと、この先やっていけませんから……なんとかします」
「何か、あて……ある?」
「まぁ、ありますよ」
親衛隊だって恋に盲目な人ばかりじゃない。
「春原家の家政夫として、屈することは許さねーぞ」
頷く俺の顔には自然と笑みが浮かんでいた。
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