025 =====

 榊原先生の言葉が紛れもなく俺を指していることに気付き、諦めて姿を現した。視線の先にいる青葉はひどく驚いている。無理もない。


「いつ、から…?」
「さっきだよ、相談の内容は全然聞いてない」
「そっか…」


 青葉は少し安心したように息を吐き出す。よほど聞かれたくなかったらしい。


「…で、お前は木之下のことを友人とは見てないわけだ?」
「だってりんごとの関係は…ッ」
「約束とかそーゆうの抜きにして考えろ。木之下はここに来てくれた、それだけで十分だろ?」


 何の話をしているのかはいまいち理解出来なかったが、俺が青葉と友達かどうかの判断をしていることだけは分かった。青葉は黙ったまま何も言わない。やはり、俺と青葉が友達だなんて夢を見すぎだと思う。

 分かっていたことだ。
 俺は痛む胸に気づかないふりをして青葉の前に立った。


「青葉、俺…」
「オレには友達がどうのとかよく分かんない。でも、りんごといると安心するのは本当」
「……」
「なんか、自分から話したいと思うんだよ。色々なことを知ってもらいたいって」


 その時の青葉の表情は、困ったように笑っているくせにとてもカッコよかった。いや、むしろ困ったように笑っていたからかもしれない。

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