024 =====
2年の教室を全て覗いた。部活かと思って体育館とグラウンドも見た。しかしそこに青葉の姿はなかった。
俺が思い至る青葉がいそうな場所は、あと1つしかなかった。
階段を上がり、いつもは昼にやってくる教室の前に立つ。教室には明かりもついているし、人の気配がある。部活をしているだけかもしれない。でも、そうではないかもしれない。
俺はドアをそっと開き、中を確認出来る程度で止めた。
「…にしても、相談するなら俺以外にもっといいヤツがいたんじゃないのか?」
「…ははッ、いませんよー。オレ、こう見えて友達少ないんで」
聞こえたのは、榊原先生の声と青葉の声だった。
会話から察するに、青葉は榊原先生に相談に来たらしい。
確かに、青葉本人も言っていたが友達と呼べるヤツは少ないらしい。むしろ転入生だけだと言っていた。おそらく相談の内容は転入生のことだから、相談するに出来ないよな。
俺はドアを背にして寄りかかった。もちろん、音は立てないように。
「いるだろ、友達」
「いないですってー、先生もしつこいなぁ」
「あれは、違うのか?」
急に会話が切れた。
「あの、ドアの向こうにいるヤツは……友達じゃないのか?」
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