022 =====
いつもの笑みは消え、すごく辛そうに言葉を吐き出した青葉。それは俺にまで伝わってきて、自然と表情が曇る。
生徒間の問題に口を出すべきではないと判断したのか、榊原先生は気づけばいない。でも、混乱する俺と青葉には気にしている暇はなかった。
「どうしたんだよ急に……確かに好きかどうか分からないって言ってたけど」
「最近、柚流の嫌なところばかりが見えるんだ。人の話を聞かない、ここでの常識が通用しない、最低限のマナーを守らない……何より、人の気持ちを考えているようで考えてない…ッ」
涙こそ流していないが、青葉はとても苦しそうだ。
昨日転入生と何かあったのだろうか……いや、でも青葉が言う転入生の嫌なところは前から変わっていないじゃないか。むしろ俺はもっと早くそれを感じていた。
転入生でないのなら、青葉が変わったのか?
「りんごと過ごしてみて分かったんだ、これがオレの求める形だって。それが分かった途端、柚流といるのが辛くなった。柚流は綺麗すぎる、無垢で無知なんだ。だからこそあんな風に振る舞える」
そうか。青葉を変えてしまったのは、俺だったんだ。
それが分かった時、俺はどうしたらいいか分からなくなってしまった。
≪≪≪|戻る|≫≫≫