018 =====
あのあと俺は、教育的指導と称してあれこれ青葉に言いまくった。俺に構ってる暇があったら転入生にアタックしろとか、そーゆうセリフをむやみやたらに使うなとか、天然タラシは俺以外の前で発動させろとか。
まぁ、青葉が正しく理解したかも実行してくれるかも定かではないけどな。
しかし、俺は青葉よりも厄介な人物がいることをすっかり忘れていた。だからこその今の状況だ。
「…どいて下さい、先輩」
「嫌だ」
「何がしたいんですか…」
「もちろん、教育的指導だ」
俺は先輩の部屋で、壁に追い詰められていた。正面に先輩、頭の両脇には先輩の手、後ろは壁。無論逃げ場はない。
なぜこうなったのかというと、先輩が夕飯のあとに部屋に呼んだのがそもそもの原因だ。前科があることもあって警戒はしていたのだが、そこはさすがと言うべきか。俺はいとも簡単に追い詰められてしまった。
至近距離にある先輩の顔に自然と頬が熱くなる。
先輩はニヤリと笑って口を開いた。
「お前は誰のものだ?」
「…す、春原家のものです」
「……、分かってんじゃん。じゃあ、青葉ってヤツと仲良くしてんのはわざってことか? あ、もしかしてまたキスされたい?」
「なッ……だ、誰が!」
先輩の言葉のセクハラに比べたら、青葉のタラシなんて大したことないように思えた。まぁ、比較するものでもないんだけど。
でも、忘れてたことを思い出させてくれちゃってまぁ。
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