017 =====
俺は青葉が普通の男子高校生であることを知った。この学園では当たり前のことかもしれないが、やはり男を好きになることに戸惑わないハズがない。
まして友愛と恋愛の区別がつかないとなれば、もう悩みは増えるばかりだ。
「青葉って恋愛経験とかないの? モテそうなのに」
「彼女はいたことあるよ。でも、ここに来てからは初めてなんだよなぁ……崇められるばっかりでさ」
苦笑する青葉を見て、「なんだか青春だな」なんて、空気の読めないことを思っていたのがいけなかったのか。青葉の次いだセリフに、俺は不覚にもドキッとしてしまったんだ。
「それに」
「ん?」
「それに、柚流といるよりりんごといる方が落ち着くんだ」
爽やかな笑みがいけない。そんな顔を俺に向けるな、なんだかとってもズルいから。
俺は動揺を隠しながら榊原先生に目配せした。先生も目を丸くして青葉を見ていたが、俺の視線に気づくと肩をすくめる。
とりあえずこのドキドキを落ち着かせるため、俺は青葉の言葉をこう解釈した。転入生と一緒にいて落ち着かないのはドキドキしているからであり、恋愛対象でない俺といる方が落ち着くのは当たり前だ、と。
俺の葛藤などつゆ知らず、青葉は不思議そうにこちらを見ていた。まったく、青葉は自分の言葉の威力を自覚するべきだ!
≪≪≪|戻る|≫≫≫