010 =====
午後の部が始まろうという時間になり、俺はそろそろ戻ることにした。新はまだ勝ち残っているし、拓水の応援もしたい。
ところが、そうもいかなくなった。だって、目の前にいるヤツが通してくれそうにないんだから。
「えーと、何か用?」
「うん、まあ」
「俺急ぐからさ、早めに終わらせてくれると助かるんだけど」
俺の前に現れたのは、先程昼食を共にしたうちの1人。A組の爽やかくんこと青葉陽だった。
ただし、いつもの爽やかさはあるものの明らかに態度が違う。転入生がいないんじゃ、こいつもただの腹黒ってことなのですかね。
「オレはさ、敵であるオマエについて少し調べたんだ。と言っても、学園内でのことだけだけど」
「それで、何か分かったのか?」
「少し前に、オマエが休んだ日があっただろ? その日、毎日欠かさず弁当を持参していたあの双子が食堂にお世話になってた」
「……」
「ついでに先輩の方も」
そこまで聞いて青葉の言いたいことが分かった。まさかそれだけで疑われるなんて。
「で、さっき確信したんだ」
「何をだよ」
「オマエは春原家と何らかの関係がある。それも同居するような、な」
それは、明らかな事実であった。
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