006 =====
先生の言葉とは裏腹に、球技大会当日までの一週間は実に平穏な毎日だった。
あれ以来先生は何も言ってくれないので、あの言葉の意味を知ることも出来ない。俺はもやもやとした思いを抱えながら球技大会を迎えたのだった。
球技大会は2日間で行われる。トーナメント形式になっていて、学年は関係ない。ゆえに、運悪く3年とあたった俺は1回戦敗退という結果に終わった。
「りんごー!」
「…汐見」
「さすがに今日は用事ないだろ? 一緒にお弁当食べよ!」
キラキラとした目で見つめてくるのは汐見こと転入生だ。転入生は順調に勝ち進んでいるらしく、生徒会から配られるゼッケンを身につけている。
「俺、新を探さなきゃならないから」
「新も一緒だぞ! さっき会ったから誘ってきたんだッ」
諦めるしかないようだ。
金持ちが通う学園にはふさわしくないレジャーシートが芝生に敷かれていた。そこにはこの学園の人気者が勢揃いしていた。
か、帰りたい。
「何立ってるんだよ、りんごも座れって!」
俺はそのキラキラと輝く中へ、半ば無理矢理入れられた。隣が新でなかったら、俺は脱兎のごとく逃げ出していたに違いない。
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