はあはあと息が弾む。
障害物をよけながら足を前へ運ぶ。

走れ、走れ、走れ

体に命令してひたすらに走る。


校舎内を駆ける俺を、すれ違う生徒や教師は怪訝な目で見てくる。
だけど今は気になんかしていられない。

後ろからアイツが――臨也が追いかけてきているから。


いつもは俺が追いかけているのに、今は俺が追いかけられている。
…いや、追いかけられている、というより、逃げていると言ったほうがいい。

俺は、アイツから 逃げていた。














臨也に追い詰められて、逃げ込んだのはよりにもよって屋上。
自分から逃げ道を無くしてどうするんだ、と舌打ちする。

静かに風が吹く中、背後からの足音にビクリと反応した。
やばい、どうしよう。会いたくない。

ぐるぐると頭が逃げ道を探すが、間に合わず屋上のドアが開いた。


「…シズちゃん」


息を切らした臨也が屋上に足を踏み入れる。
息を切らすほどに俺を追いかけたのは、多分意地だろう。

意地でもなんでも、追いかけられたのが嬉しかった。
そんな自分を認めたくなかった。


ジリジリと近づいてくる臨也。
近くなる臨也に、動悸が激しくなった。
はあっと熱い息を吐いた姿に、熱くなる顔。

違う。

自分に言い聞かせる。


動悸が早いのは走ったからで、
顔が熱いのは日差しが強いから。


込み上げてくる感情は無視をして、俺は臨也を睨み付けた。








こんな奴に惚れたなんて、俺は絶対認めない。



Run away!



▼あとがき
臨也に惚れたけど、認めたくなくて臨也から逃げるシズちゃん。
認めても「なんであんな奴を好きになったんだよ」と戸惑いつづけます。

誰か不器用なシズちゃんの話書いてくだs←
言い出しっぺの法則がはたらくことはあるんでしょうか…