「もう疲れちゃった…もともと1人しか信じられなかったけど…信じてなくても届いてた声はもうその1人にしか届かないもの」



屋上で俺に微笑みながら話す彼女は残酷なほど
今まで見た中で一番美しかった


「…その1人が、お前さんが死んだら悲しむと言ったらどうするんじゃ」
「悲しんでもらう…そうすればその1人の中で私は生き続けていられるから」


以前の彼女なら間違ってもこんなことは言わんかった
明るかった彼女を変えさせたのは…まぎれもなくこの学校でありこの世界


「何もかも諦めてどうするんじゃ!まだきっと「珍しいね、雅治がそんな根拠のないこと言うなんて…でも分かってるでしょ!?この世界に私の居場所はもうない!私は永遠に同じ日を繰り返した、毎日毎日…殴られてけられて暴言を浴びせられるだけ…私にもう明日は来ないの」


明日が来ない?
なら俺も同じじゃ
俺はお前さんと同じじゃから
毎日毎日ボロボロにされるお前さんを、彼女に言われた通り
ただ見てるだけ
こっそり手当てをすることしかできんかった小さな自分
お前さんがいなくなったら俺に明日は来なくなる
今更アイツらとともにまた元通り?…そんなこと考えただけで、胃から何かがせりあがってくる気がした


「お前さんがいない世界を俺に生きろっていうんか?…また残酷じゃの」
「雅治なら私の代わりなんていくらでも見つかる…雅治は幸せになるよ、私と違って…すぐに人を信じられるようになるよ」


彼女も俺も人を信じられん体質じゃった
そん中で信じられたのは異質同士のお互いのみ
大事な大事な俺の片割れ
お前さんが死んだら俺の半分が死んでしまう


「そんなこと「絶対大丈夫だよ…あ、下にちょうど人がいる…私をボコボコにした人たち…タイミングは、」


イマ
そう言って空へ体を投げ出した彼女の腕を引っ張って屋上に戻した
彼女は俺を見て、涙をためて、俺を怒鳴りつける


「なんでよ!?雅治なら…雅治ならこの気持ちわかってくれるでしょ!?もう同じ日を繰り返したくないの!だから「くれ」
「…え?」
「そんなに死にたいんなら…お前さんの明日、俺にくれ…その代わり俺の明日はお前さんにやるから」


そう言って彼女を抱きしめた


「2人一緒ならきっと明日は来るぜよ…お前さんと2人なら、絶対にの」


「来ないよ…私はいつか、殺しちゃう……自分も、雅治も」
「それもまた明日じゃ」


明日が来ない彼女と俺
その2人の明日が混ざれば、きっとどんな方向にでも時は動き出す
俺らの世界に余計な人間はいらない
人間はただ2人
俺とお前さんだけでいい
君の明日を僕にください




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