1 いつも通りにコンビニのバイトに勤しんでいた。 田沼はといえば、今日も女の子と遊ぶらしい。こっちはバイト詰めだというのに、いい身分だ。禿げろイケメン。 完全に客足が引いた時に、先輩が寄ってきた。 「合コンの話なんだけどさ。来週の水曜日とか大丈夫か?」 合コン……? 一瞬なんの事か忘れていたが、思い出す。先輩の妹さんが、俺の事を気になってるだとか言っていたけか。 ここ最近いろいろありすぎて、完全に忘れていた。 「夏休みだしさ。妹も寮から帰ってきてるし、来週の水曜日はお前もシフト入ってなかっただろ」 確信を持って、言われる。わざわざ確認をしてくれたんだろうか。確かに入ってなかった気がする。それに、特に予定もなかったはずだ。いや、暇じゃないけど予定はないってだけだ。 俺は誰に言い訳してるんだろうか。 「はい、大丈夫ですよ」 頷き、承諾する。 先輩は嬉しそうに俺の背中を叩いた。 地味に痛い。 「じゃあ、また詳しいこと決まったら連絡するわ」 最後に肩をポンポンと叩かれる。 先輩は力の加減というものを知らないのかもしれない。だから痛いですって。 俺が恨めしそうな顔をしているのにも気付かず、先輩はバックヤードへと消えた。 [戻る] [しおりを挟む] |