7 3日後、柏木の彼女だという女の子が訪ねて来た。 どうやら田沼とも知り合いらしく、田沼に俺の部屋を聞いたらしい。 彼女も隈が酷い。 俺は、席を外した方がいいんだろうか。いたら、邪魔だよな。 「俺はコンビニ行ってくるね」 遠慮する2人を残し、外に出る。雨が降っていた。 ビニール傘を差し、ゆっくりと歩きだす。 何の話かな。どれくらい時間掛かるだろうか。ケータイで時間を確認しする。1時間くらい時間を潰せば、大丈夫だろうか。 近所のコンビニは、バイト先だ。バイト先で暇を潰すというのは、ちょっと気まずい。 「あれ? 上原、今日のシフト終わったんじゃなかった?」 店内に入るなり、目を丸くされた。 店員2人を見て安心する。良かった。気さくな先輩と同じ大学の奴だ。 「ちょっと暇潰し」 店内に客がいないのか、先輩が近寄ってきた。 「上原。今度合コン来てよ?」 唐突な誘いに、目を見開く。先輩から合コンに誘われるのは初めてだ。数合わせだろうか。 「この前、碧学の学祭行っただろ? 妹が碧学なんだけど、お前のことが気になるって言ってんの」 え? 間抜けな声が出た。 森か田沼と勘違いしてるんじゃないだろうか。いや、だってそんな―― 「毎日のようにお前の事話してくんだぜ。自分の演奏中に倒れたとか、大丈夫だったかなとか」 ニヤニヤと話す先輩に、少し上がった期待が落ちた。 それ別の意味で気になるんじゃあ……。 「兄としては何とかしてやりたいわけですよ」 先輩の笑顔に、俺は何も言えなくなり頷いた。 「じゃあよろしく!」 肩を叩かれ、もう一度頷く。 「いいなぁ。おれも連れてって下さいよー」 「やだ。お前、チャラいもん」 「えーそんなことないっすよー」 2人の漫才を聞いている内に、結構時間が経っていたらしい。 3人分飲み物を買って、アパートに戻る。 [戻る] [しおりを挟む] |