1 食堂の片隅。外は雨。 今日も俺と森はダラダラとしていた。向かいの逢沢さんはボーッと俺の後ろ――食堂の中央の人の動きを見ている。 俺がこんなに憂鬱なのは、梅雨だけじゃない。碧木学園の文化祭で、あの夢を見たせいで、田沼と喧嘩してしまった。 今回は完全に俺が悪い。田沼に会う度にビクビクしてたから、怒らせた。たかが夢にビクビクした俺が悪い。 今は電話もメールも無視されている。家にもこない。 「あ」 俺が田沼の事を考えていると、急に逢沢さんが何かに気が付いたように、声をあげた。 俺は逢沢さんが見ている方向を見る。 あ、柏木。 「柏木」 声を掛けて手をあげると柏木も返してくれた。料理の乗ったトレイを持ち、こっちに来る。 逢沢さんが、隣の椅子に移ると柏木が今まで逢沢さんが座っていたところに座った。 よく見ると柏木の顔が酷いことになっている。 目の下には隈が出来ていて、目は充血している。イケメンが台無しだ。 「最近森と食堂によくいるって本当だったんだな」 柏木は笑みを浮かべて言うが、それはひきつっている。 森はのそりと顔を一瞬上げ、柏木を一瞥するとまた顔を下げた。 「……柏木最近寝てる?」 言っていいものかと悩んだが、やっぱり言った。このままじゃあ、きっと倒れてしまう。 「あ、まぁ……忙しくて」 曖昧に笑い、柏木は言った。 [戻る] [しおりを挟む] |