3 待ち合わせ場所に着いて早々に、俺は田沼を問い詰めることになった。 「おい、田沼どういうことだ」 俺の問いに、田沼はへらへらと笑う。首絞めてやりたい。 「詩織ちゃんなら誘ったよ。断られたけどね」 「屁理屈じゃねぇかよ!」 泣きたい。俺が苦労して来たって言うのに、香山さんいないじゃないか! 男女3人ずつだと思っていたメンバーは、男は俺を含めて3人、女の子は2人だった。 おまけに、俺以外の男はイケメンという……完全に俺が溢れるじゃねぇかよ。泣きたい。ホント泣きたい。 「だって、詩織ちゃん彼氏とデートだってさ。彼氏も誘えば来たんだろうけど、上原は及川(おいかわ)苦手だろ?」 追い討ちをかけるような情報を、田沼はゲラゲラと笑って言ってのける。 香山さんに彼氏がいて、その彼氏が王子様系イケメンとか泣きたい。 「え? 上原って香山すきなの?」 いつの間にかもう1人の男メンバー――柏木悠太(かしわぎゆうた)がそばにいた。 正直、この柏木も苦手だ。話したことないけど。 「今失恋したけどね」 田沼がニヤニヤと嫌な笑みを浮かべて、応える。もういいよ。止めろ。 「さ、駄々捏ねてないで行くよ上原」 「捏ねてねぇよ」 [戻る] [しおりを挟む] |