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僕は父親を見るとムラムラします1


 人生なんてものは、ほんの些細なことで狂い出す。最初は小さなきっかけでも、それがやがて大きな歪みになるのだ。この俺のように――……。
 最初は本当に小さなことだった。いや、中2という多感な思春期真っ只中の当時の俺にとったら、衝撃は大きかったか。ただ誰が想像できよう。たかが漫画の表紙を見て、人生観が大きく変わるなんてことがあるなんて。
 中2のとある夏。思春期真っ只中だった俺は、両親の部屋に忍び込み親父のエロ本やらDVDを探していた。
 今時データだろなんて、とは思うかもしれないが、当時ケータイを持たせて貰えず、パソコンはリビングにある状況でそれは非常に難しかったのだ。
 そんな中考え付いたのが、それだ。中2なんて人生で1番馬鹿なのだからしかたない。
 ベッドの下やテレビの裏、押し入れの中という定番を調べて見たがない。
 母さんがいないのだから、有ってもおかしくなさそうなのに。母が亡くなって、もう6年経つのだ。有っても、おかしくはない。
 ふと本棚の後ろを見ると押し入れが隠されていた。ここか! と無駄にテンションを上げ、押し入れを開ける。
 そこには、表紙からしてエロそうな漫画がたくさんあった。――男同士絡み合うエロそうな漫画がわんさかと。
 俺はそっと押し入れを閉め、両親の部屋からでる。
 後に親父にさりげなく聞くとあれは母の私物だと知った。
 そんな思春期ホモエロ漫画事件から約1年半。
 俺は高1になった。そろそろ進路に悩む時期だが、俺は別の事に悩んでいる。
 この1年半、いろいろあった。
 よもや、実の父親にムラムラする日が来るなんて、誰が想像できただろうか。
 俺が欲情しているなど、露知らず。親父は、風呂上がりはタオル一枚腰に巻き、歩き回るのだ。
「服着て出てこいよ、だらしねぇ!」
 あらかじめ用意していたパジャマを親父に投げ付ける。
 思春期の妄想力なめんな! これだからノンケは! そして近親は!
「痛い! 反抗期か。パパ、寂しいなぁ」
 なんて言って、親父は泣き真似をする。
 反抗期?! むしろ発情期だっつーの! アンタの裸で何度抜いたと思ってんだ。その度に罪悪感抱いたわ!
「さっさと着ろ。風邪引くぞ」
 それだけ言い捨てて、部屋に入る。
 煩悩を打ち消すために、勉強しようと机に向かって座った。そして数分後、頭を抱える。問題が解らないわけではない。集中出来ないだけだ。
 悶々してるだけでただただ時間を無駄に過ごす。まだ、高1だからいいかもしれないが、これが来年まで続くなら問題だ。
 早々に問題解決したい、とは思っている。諦めるべきだ、とも思うがなかなかどうして儘ならない。
 溜め息を吐いて、ベッドへとダイブし、転がる。ギシギシとスプリングが悲鳴をあげた。




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