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ダメな大人


※下品
 目の前で両腕と足を開いた男がオレに笑い掛ける。
「さぁ、お菓子は持ってないからイタズラしていいよ」
 などと供述しており――ニュースキャスターの声が脳内で再生される。
 今、大声を出したら、目の前の男は事件の容疑者としてニュースになるのだろうか。
 小学生の男子の目の前で、下半身を露出しているのだから、きっとなるだろう。
 家庭教師が、教え子の部屋で、やっていいことではないはずだ。
「じゃあ、切り落としてもいいんだ?」
 笑顔で言ってやったら、男の顔が青ざめる。
「じゃ、じゃあ、コレがお菓子だよ!」
 少し上を剥いている粗末なものを指差し、男は言う。
「早くしまって、授業して。こっちは授業料はらってるんだからな」
 もう付き合いきれない。
「払ってるのは、お父さんだよ?」
 確かにそうだけど、オレが払ってないからってオレに性的なことをしていいことにはならないだろう。
「大声出されたくなかったらしまえ、気持ち悪い」
 自分も将来あんな風になるのだと思うと、なんだか大人になりたくないな。
 ため息を吐くと、ようやく粗末なものをパンツの中に収めたようだった。
「今度出したら踏むからな」
「足コキしてくれるの?」
 オレの脅しに、男は目を輝かせた。ダメだこいつ。早くなんとかしないとオレの貞操が危ない。
2012.10.31


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