ss | ナノ


wrongdoer


※この作品はイジメを推奨するものではありません。
※下品・暴力・差別表現があります。


 体育館裏に集まり、男の癖にやけに細い木島を乱暴に突き飛ばす。突き飛ばした瞬間に持っていたビニール袋から所謂エロ本が一冊顔を覗かせる。それをニヤニヤと笑い、俺を含めた三人で木島(きじま)を囲んだ。
「ちゃんと買って来れたな」
 木島の足を軽く蹴りつつ、俺がからかうように言う。木島は恥ずかしいのか、耳を真っ赤にして俯いた。
 前髪が長くて余計に顔が見えないが、多分顔も赤いんだろう。
 気持ちの悪い奴。
「さっさとやれよ」
 木島の後ろにいた新城(しんじょう)が、ケツを軽く蹴った。一緒になって山口(やまぐち)も右腿を蹴る。
「お前らが蹴ってちゃ出来ないだろ」
 ニヤニヤと笑って2人を木島から離す。
 自分でも随分嫌な笑みを浮かべてるのがわかった。ホント愉しくて仕方がない。
 特等席である用途不明のドラム缶に座る。残りの二人もそれぞれ座った。もちろん、逃げられないように囲んでいる。
 木島は周りを見回してまた俯いた。
「ほら、見ててやるから遠慮すんな」
 木島に言うと首を横に振る。
 まぁ当たり前か、と思って鼻で笑う。拒否されるのは最初から想定済みだ。
 実際、俺だって嫌だ。
 コイツにやらせようとしているのは、俺たちの前でオナらせることだ。別に他人の抜いてる姿なんかみたくないが、人が傷つくのを見るのは嫌いじゃない。
 むしろ大好きだ。
 その為に、コンビニでエロ本買わせにも行かせた。相当嫌がっていたが、腹を蹴ってやったら簡単におれた。
 嫌がる木島を睨み、俺は顎でやれよと指示する。
 おずおずとエロ本を自分の前に置き、啜り泣きながらベルトを外して粗末なもんを出した。
「デカッ」
 山口がゲラゲラと笑い、指を差す。
 確かにデカイ。体格に全くあってない。
「さっさとお気に入りのページ開いて、その立派なモン擦れよ」
 新城もゲラゲラと笑って指示をする。俺はただそれを見下ろす。下半身晒したまま、啜り泣き、エロ本を開く姿は、滑稽で仕方がない。
 暫くしてページが止まる。貧乳の女の子が下着姿で上目遣いしていた。
「何お前、貧乳好きなの?」
 俺がからかうように言うと耳を真っ赤にして俯いた。気持ち悪い。
「ほら、やれよ」
 山口が小石を投げる。
 エロ本を見詰めて、漸く自身を握る。
 チラリと俺を見て、許す気がないとわかったのか、手を動かし始めた。
「マジでやってるし」
 俺が笑いながら言うと木島の肩がピクリと震えた。
「西尾(にしお)がやれって言ったんじゃん」
 ゲラゲラと笑って新城が俺に言う。
「おい、誰が止めていいつったよ」
 木島が手を止めているのに気付き、隣にあったドラム缶を蹴る。ドンと大きな音が出ると大袈裟な程、木島がヒッと悲鳴を上げて震えた。
「ごめんなさい」
 謝って、また手を動かし始めた。
「西尾。マジ、ジャイアン」
 山口がからかうように言う。俺はうっせ、と返してまた木島に視線を戻した。
 せっせと右手という名の恋人で自身を慰めている様を3人でからかったりしているうちに、勃起ち上がってきた。気持ちがいいのか、たまに息を詰めているのがわかる。
 どうやったらこの状況で勃起つんだろうな。気持ち悪い。
 犬みたいに息が上がっていく木島の姿は、滑稽以外の何者でもない。
「うわ、勃起してるし」
「コイツ、Mなんじゃね?」
 新城と山口が笑いすぎて腹を抱えながら言う。
「見られて嬉しいか?」
 俺が見下すように言ってやると、更にそれが大きくなった。
 山口がマジかよ! なんて言って、涙を浮かべて笑う。
 狂ったように笑う山口に呆れつつ、改めて木島を見た。
 一瞬、目が合った気がして、何だか違和感を覚える。
 あの無駄に長い前髪の下は、本当にエロ本を見てんのか?本当は、なんて考えて止めた。あり得ない。エロ本見て興奮して、見られて更に興奮しただけだろう。
 暫くしてゾクゾクと寒気がして、鳥肌が立った。
 見られている気がする。時折漏らす吐息の音に、気持ち悪さが増す。
 あり得ないだろ。自意識過剰すぎ、俺気持ち悪ィ。そう言い聞かせて、木島をからかう。
「すげぇ濡れてんな。マジ気持ち悪ィ」
 さっさとイけよ。と言ってやるとまた大きくして、はぁと吐息を吐いた。揺れる前髪の隙間から目が見えて、俺と目が合う。口角が上がり、舌舐めずりをした。
 あまりの気持ち悪さに、悲鳴を上げそうになって口元を手で押さえる。
「どうした、西尾?」
 異変にすぐに気付いた新城が、不思議そうに俺を見る。
 細かなとこまで気が遣える新城に普段は感心しているが、今は鬱陶しいとしか感じない。
「何でもない」
 少し冷たく言ってやるとそれ以上は、何も言ってこなかった。
 怖いもの見たさか何だか知らないが、また木島に目を向ける。
 ビクビクと震え、何事かを呟くとイった。鳥肌が立ち寒気が酷い。何を呟いたかわかんなかったが、背筋がゾッとした。
「マジでイったし!」
 ゲラゲラと笑う山口と新城を尻目に俺は顔を歪め、木島に近付く。
「気持ち悪いもん見せてんじゃねぇよ」
 思いっきり足を蹴った。
「お前がやれって言ったんじゃん。りふじん!」
 山口が言って笑い転げる。ウゼ。思わず睨むと、新城が笑い転げている山口の腕を引っ張って立たせる。
「オレら教室で待ってるわ」
 新城は言って、えーおれも殴りたい!なんて喚いている山口を引き摺って行く。
 見えなくなってから木島を見て、ヒッと悲鳴を上げる。
 さっきイったはずのそれはまた元気になり、俺の靴に擦り付けていた。うっとりとした顔をして、息を吐く。
「西尾くんッ西尾くんッ」
 切羽詰まったように俺の名前を何度も呼び、腰を激しく揺らして靴に擦り付けられる。
 あまりの気持ち悪さに俺が動けないでいると腕を強く引っ張られ、体勢を崩した瞬間に木島がイった。
 精液が制服に掛かり、顔にも少し掛かった。ぬめっとした感覚が頬から首筋に流れる。
「ああ、汚れちゃったね」
 木島は言うと俺を制服のボタンに手を掛ける。
「止めろっ! クソホモっ」
 ハッとして木島の顔を殴る。
 倒れている木島を踏んで、ポケットから財布とハンカチを抜く。
 財布を開いて、思わず舌打ちが出た。
 野口が二枚。こんなんじゃ制服と靴買えねぇじゃん。
「おい、明日五万持って来い」
 だいぶ多いが慰謝料込みだと考えたらまだ良心的だと思う。俺の靴でオナった挙げ句、制服と顔にぶっかけたんだ。本当はもっと獲りたいが、親バレは避けたい。
 木島のハンカチで顔と制服を拭く。青臭ぇ。最悪だ。くそっ。
 俺の足のしたで震えながら転がっている木島を蹴って、教室に戻る。途中でハンカチは捨てた。あんな気持ち悪いもん、持って帰れるか。
 マジ、ホモキメェ。
2011.10.24


以下広告↓
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -