3つのカニバリズムの話 | ナノ





 仕事帰り、お隣さんの部屋の前を通りすぎようとした時に怒鳴り声のようなものが聞こえた。思わず立ち止まる。
 部屋の壁はそれなりに厚いけど、扉は薄いから中の音や声が漏れてくることはよくある。
 何を言っているのかはわからないけど、怒声っぽいものは聞こえてきた。男性の声だ。
 あの写真なことで夫婦喧嘩してるんだろうか。ここの奥さんは大人しい人だから殴られたりしてなきゃいいけど。
 しばらく扉の前で止まっていたけど、怒声っぽいものが聞こえなくなった。もう大丈夫だろ。安堵に息を吐き、部屋に帰った。
 部屋にはいるとフリーターの康平は、もう帰ってきていた。ソファーで寛いでいる。
「ただいま」
「おう、おかえり」
 声を掛けると腕を引かれて、膝の上に乗せられる。
 自分よりデッカイ男を膝に乗せて、何が楽しいか解らないが康平は笑みを絶やさない。
「ここですんの?」
「イヤ?」
「別に」
 首を傾げ、上目遣いでいう康平は、とんでもなく気持ち悪かった。野郎がやっても気持ち悪いだけだ。
 ヤることヤったら、腹が減ったからピロートークもそこそこにして、康平をパシらせた。
 ふと洗濯物を取り込んでいないことを思い出して、ベランダに出る。あっなんだ。康平やってくれたんじゃん。

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