4 「あっあのさ。桜木さんと何で別れたの?」 漸く本題に入れた。 畠山は眉間に皺を寄せ、溜め息を吐く。 「またその話?」 これを話すために、一緒に帰ってるんだから当たり前だ。 それ以外で、こんなイケメンと一緒に帰るか。 畠山はもう一度、溜め息を吐く。 「もう、好きじゃないから」 言って、畠山はまた溜め息を吐いた。 そんなに溜め息吐くと幸せが逃げるぞ。 「てか、これは彩花とオレの問題でしょ。別れるのも付き合うのも勝手じゃん」 確かにそうだ。だが、被害がこっちにまで来てんだ。二次被害だコノヤロー。桜木さんとの恋愛が始まる前から終わってんだ、畜生。 「うん。まぁそうなんだけどさ。桜木さんに変なこと聞いちゃってさ」 俺が言うと畠山がえっ? と声を上げて立ち止まる。 目が見開かれ、泣きそうな顔になった。 止めろ、その反応。 「何聞いたの?」 畠山の声が震える。 だから、止めろ。それじゃあ、本当にまるで…… 「俺のことが好きだから別れたとか。罰ゲームかなんかか? それとも別れるために、名前使ったのか? 何にしろ、迷、」 「違う。違うよ」 迷惑なんだ、とは最後までは言わせてはくれなかった。 泣きそうな顔をしながら、俺をまっすぐと見つめてくる。 「オレは本当に」 止めろ、変なこと言うな 。 「田中のことが」 それ以上言うな。 「好きなんだ」 本当に、俺の事好きみたいじゃないか。 [戻る] [しおりを挟む] |