07







「元親!!」

今日入れていた講義が全て終わり、俺は理工学部のある棟に足を向けた。
元親とはよく、大学の帰りとかに飲みに行く。
だが、いつも元親が俺を迎えに来るから、今気付いたがこの棟には殆ど入った事がない。
だから・・・だよなぁ・・・。


「・・・迷った・・・か?」

完全に迷った。
lost childだ。
しかし周りの生徒に聞くのは、俺のprideが許さなかった。
・・・自力で探し出してやる。

心に決めて、探し出す。
考えるのを止めて、適当に歩いてみる事にした。
だってどうせ、何処だかわからない。
その上滅多に入らない棟だ。
好奇心が刺激された。

「・・・伊達?」

聞きなれた声が、聞こえた。

「元親!」

「よう、珍しいな。お前がこっち来るなんて」

「いや、聞きたいことあってな」

「で、来たけど結局迷ってた、ってか?」

「う゛・・・」

図星刺されて、とっさの言い訳もできなかった。
元親はソレを見て笑ってる。
くそっ・・・。

「わ、笑うなよ!!仕方ねぇだろ?俺この棟入ったの、今日が初めてなんだからよぉ・・・」

「ま、そうか。お前はいっつも俺に迎えに来させるもんなぁ?」

「それはお前の講義が早い日に、飲みを入れてるからだろ!?」

「はははっ、そうだな」

先にも行ったが、元親とはよく飲みに行く。
ようは『気の合う先輩』だ。
だが、飲みに行くのは決まって元親の講義が午後で早く終わる時。
俺の方が遅い事が多いから、何時も元親が俺のトコまで迎えに来る。
だから俺が此処で迷うのも、無理はないのだ。

「で、聞きたい事って何だ?姫さん」

「姫じゃねぇ!!!!・・・聞きたいことってのは・・・だな」

「おう」

「・・・お前今日の昼にさ、orange頭の奴といただろ?」

「オレンジ頭・・・オレンジ頭・・・おお!!!佐助か!」

「・・・佐助?」

「おう。お前と同じ学年の情報科だ。で、ソイツがどうかしたか?」

「・・・ソイツ、名前何て言うんだ?」

「あ?猿飛 佐助・・・だったか?」

「猿飛・・・佐助・・・」

猿飛 佐助・・・

「イイ名前・・・だな」



あぁ、君と話してみたい





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