「元親!!」
今日入れていた講義が全て終わり、俺は理工学部のある棟に足を向けた。
元親とはよく、大学の帰りとかに飲みに行く。
だが、いつも元親が俺を迎えに来るから、今気付いたがこの棟には殆ど入った事がない。
だから・・・だよなぁ・・・。
「・・・迷った・・・か?」
完全に迷った。
lost childだ。
しかし周りの生徒に聞くのは、俺のprideが許さなかった。
・・・自力で探し出してやる。
心に決めて、探し出す。
考えるのを止めて、適当に歩いてみる事にした。
だってどうせ、何処だかわからない。
その上滅多に入らない棟だ。
好奇心が刺激された。
「・・・伊達?」
聞きなれた声が、聞こえた。
「元親!」
「よう、珍しいな。お前がこっち来るなんて」
「いや、聞きたいことあってな」
「で、来たけど結局迷ってた、ってか?」
「う゛・・・」
図星刺されて、とっさの言い訳もできなかった。
元親はソレを見て笑ってる。
くそっ・・・。
「わ、笑うなよ!!仕方ねぇだろ?俺この棟入ったの、今日が初めてなんだからよぉ・・・」
「ま、そうか。お前はいっつも俺に迎えに来させるもんなぁ?」
「それはお前の講義が早い日に、飲みを入れてるからだろ!?」
「はははっ、そうだな」
先にも行ったが、元親とはよく飲みに行く。
ようは『気の合う先輩』だ。
だが、飲みに行くのは決まって元親の講義が午後で早く終わる時。
俺の方が遅い事が多いから、何時も元親が俺のトコまで迎えに来る。
だから俺が此処で迷うのも、無理はないのだ。
「で、聞きたい事って何だ?姫さん」
「姫じゃねぇ!!!!・・・聞きたいことってのは・・・だな」
「おう」
「・・・お前今日の昼にさ、orange頭の奴といただろ?」
「オレンジ頭・・・オレンジ頭・・・おお!!!佐助か!」
「・・・佐助?」
「おう。お前と同じ学年の情報科だ。で、ソイツがどうかしたか?」
「・・・ソイツ、名前何て言うんだ?」
「あ?猿飛 佐助・・・だったか?」
「猿飛・・・佐助・・・」
猿飛 佐助・・・
「イイ名前・・・だな」
あぁ、君と話してみたい
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