03








雪はないけどすごく寒い日の午前中。
俺は何にもする気が起きなくて、ベッドの中でゴロゴロしてた。
頭に浮かんでくるのは、昨日別れた彼女の事なんかじゃなく、いつも目で追ってる子。
俺の想い人である『彼』。

そう。
想い人は男。

同じ大学の英文科に通ってる、同じ学年の男の子。

綺麗な顔立ちで、男にしては少し長くて、癖のある黒髪。
だけど、完璧じゃなくて。
右の眼には、黒い眼帯。
完璧にものすごく近い、不完全。
それが、一層彼を引き立てていると俺は思う。

いつからか、惹かれてた。

「・・・今日も・・・会えるかな・・・」

呟いたけど、彼の講義が午前中からならほぼ無理だ。
俺のいる情報科と、彼のいる英文科の校舎は離れてる。
学内で会えたのは、一回だけ。
いつもは同じ時間から講義が入ってる日の、行きの道でしか会えない。

だから彼の名前だって、俺は知らないんだ。



俺はこの賭けごとのような日々を、いつまで続けて行くのだろう





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