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二人で並んで、中庭のベンチに座った。
そのまま無言で食べ始める。
俺はすごい緊張してて、手が震えそうなのを必死に堪えた。
ドクドクと心臓が、まるで耳元で鳴っているかのようだ。

今まで生きてきて、こんなにも緊張したことがあったろうか。
そして、こんなにも人を好きになったことも。


今まで、幾人かの女と付き合ってきた。
全て向こうから告白されてのものだったが、精一杯愛そうと思ったし、そうしてきたつもりだ。
だけど、今回は違う。
こんなにも激しい愛情を、俺は知らない。
会いたいと思うのに、会ったら話せないなんてこと、なかった。
どうしたらいいかわからない。


「…ねぇ、政宗」
「……なんだ?」


突然話しかけられて、驚いた。
佐助が少し笑いながら、こっちを見る。


「……本気でさ、人を好きになったこと、ある?」





心に溶ける、難解な質問






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