「別れよう」
言われて、黙って頷いた。
だって、未練なんてないから。
「佐助君、ホントは私の事なんて、好きじゃないんでしょ」
そうだね。
君の事は、好きでも嫌いでもない。
「そんな事ない」
だけど、それを言ったら、君が傷付くだろう?
だから俺は、嘘を付く。
「嘘」
だけど、君にはすぐに見抜かれる。
見抜いた所で、傷付くのは自分なのに。
「嘘なんかじゃないよ」
そう言って、笑う。
「・・・そっか」
君も、力無く笑う。
「もう、いいや。・・・バイバイ」
そのままの顔で、彼女は去って行く。
追うような事はしない。
だって、告白されたから付き合った。
ただそれだけ。
最初から、愛なんてなかったんだ。
俺のホントに好きな人
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