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お前は、俺がもう寝たと思ってたんだろ。

あの時、まだ俺は起きてたんだぜ?
眠くてうとうとして、まどろんでたんだ。
夢現の狭間で、俺はその言葉を聞いた。



『・・・好きだよ。大学行く途中の道で見てるだけだった時から、ずっと・・・』



お前は気付かなかった。
俺が聞いてたこと。
俺の心臓が、破裂しそうなぐらいにバクバク言ってて、必死に寝たふりした。


酔いなんて、その言葉ですっかり覚めてた。


ただただ頭の中が、グルグルと混乱してて。
心臓が今まで感じたことがない位、息も出来なくなる位に速く大きく鼓動を刻んでて。
この音がお前に聞こえてしまわないか、それだけが心配で・・・。

息苦しくて仕方ないはずなのに、心はものすごく満たされてる感じがした。
フワフワと温かいものが、俺を包む。
まるで真綿に包まれたようだ。
あったかくて、優しい。
嬉しくて仕方ない。

『好き』

今までこのたった二文字の言葉を、自分はどこか冷めた感じで聞いていた。

女に告白されて、付き合うとき。
女はこの言葉を必ず俺に言った。
一緒にいるとき。
女は必ずこの言葉を欲しがった。

こんなたったの二文字の言葉に、なんの意味がある?
そう思ってた。

何度、偽りを乗せたこの言葉を女に送ってきただろう?
罪悪感なんて、微塵も無かった。
俺はこの言葉の意味を、今の今まで知らなかったんだから。

『好き』

この二文字の持つ大きな力を
幸福感を
俺は、今初めて知った。



・・・お前の力で。





「・・・I love you。This mind is truth」



好き。
お前の事が。
この気持ちは、本物だ。
絶対に。





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